Csunの日記

本好き📖*

ハンバーガー1 個分で憲法を-童話屋さん『日本国憲法 付教育基本法(新・旧)/ 英訳日本国憲法』

童話屋さん2001年刊「小さな学問の書 」シリーズの1冊目。

こんな小さな本が、ちゃんと出版人の心意気を醸し出していたような。

懐かしいですね、たった80ページの文庫サイズの本が、本屋さんのレジ横に置かれていました。あっちの本屋さんにも、こっちの本屋さんにも。当時の消費税込みでぴったり300円、たった300円の本のためにレジ横を空けてくれたんですね。

日本国憲法(英訳付)と教育基本法、まえがき見開き1ページのシンプル編集。厚さ5mmほどの文庫サイズ。この小ささ、薄さ、シンプルさが素晴らしい。


編集:田中和雄さん

童話屋さんの創設者の方です。もともと童話屋書店として出発したのを、安野光雅さんからの出版依頼がきっかけで、あれよあれよという間に(?)出版をするようになったそうです。

書店を始めたのは、「子ども心に憧れた」過去があったから。だからでしょうか、子ども向けの本を扱っていました。

そして、特に詩に縁があったわけでもないのに、谷川俊太郎さん、茨木のり子さん、まどみちおさん…そうそうたる顔ぶれが出入りするように。すごいですね。これぞマンパワー!ちょっとした文化交流の場が出来上がったということですね。出版社になってからは詩集も出しています。『ポケット詩集』など私も何冊がお世話になりました(*^^*)

↓当時のエピソードなど
www.tokyo-np.co.jp

↓「店に飛び込んできた」安野光雅さんと制作した本。出版社・童話屋誕生のきっかけ。
www.dowa-ya.co.jp

ちなみに、今でもパソコンやメールと無縁でいらっしゃるそうです。

上記「紙、消しゴム、鉛筆だけ『童話屋』創業者・田中和雄さん」の記事を執筆した記者さんは、「『ポケット詩集』をコラムで取り上げたら、見ず知らずの田中さんから礼状が届いた。手書きの丁寧な文面から『他者との縁を大切にする人だな』と感銘を受け」と記しています。素敵な交流です(o^^o)

企画

2001年、ちょうど憲法改正問題が盛んだったころの出版です。子どもたちが憲法を読んで自分の頭で考えてくれることを願っての企画でした。

お役所に行っても、日本国憲法のパンフレット一つ置いてあるわけもなく「国会図書館にあります」って。となると六法を繰る?そんな大変な思いをしなければ読めないのか?ということですね。言われてみればそうですね。今はインターネットでいつでも引き出せますけれど、日本のインターネット普及率、2003年時点でもようよう60%でした。

www.at-s.com

ハンバーガー基準の定価

もともと想定した読者層は小・中学生だったとのこと。子どものお小遣いで買える限度を調べて、「ハンバーガー1個分の値段」に白羽の矢が立ったそうです。当時の消費税5%込みでちょうど300円。

子どもが100円玉を三つ持って「憲法ください」と来たら本屋さんがどんなに喜ぶだろう、子どものポケットに入ったらどんなにすてきだろう、と夢見たんです。

素敵な感性!

初版10万部…重版

「10万冊ずつで行こう」と言ったら、会社のみんながシーンとなって、おかしなものを見るような顔になった

10万部“ずつ”というのは、『あたらしい憲法のはなし』と同時刊行だったからなのですが、『日本国憲法』だけで10万部を刷ろうと思ったそうです。3000万人くらいに読んでほしいと。当時、初版といったら2〜3万部だったそうですから、社の皆さんの「?」も推して知るべしですね^^;

そして、この10万部、なんと3ヶ月で重版となったそうです。

童話屋さんの 読者カード

童話屋さんの本に縁があったらぜひ見てほしい読者カード。名前や住所の欄は漢字なのに、感想を書くところには

「おたよりを、どうぞ。」

小さい子が書くことも想定して、いや、小さい子どもにこそ書いてほしい編集部の気持ちがこんなところに表れています。

子どもが大人に「ここに感想書くのよ」と教えてもらって書くのではダメなんです。子どもに直接「おたよりを、どうぞ。」とコミュニケーションを取りたい気持ち。私にはそう思えます。

教科書で要所要所は習ったけれど、この本がなかったら憲法はもっと遠いものだったと思います。薄い本だけれど、本棚で見失うことはありませんでした。また改めて読んでみます。ありがとう(*^^*)

書籍データ

題名:『日本国憲法
編纂:童話屋編集部
版元: 童話屋
発行日:2001年2月26日
サイズ:A6
頁:80頁
定価:286円+税

ちょっとだけモードの世界の住人に…山本耀司さん『服を作る - モードを超えて』

本の佇まいが、「ライトに読めるけれど…深いよ!」という雰囲気に満ち満ちていました。シンプルな、というか引き算の美しさを発揮していて、丁寧に作ってもらえた本なんだなぁ、と。聞き手の宮智泉さんも素晴らしかったです。


山本耀司さん

Yohji Yamamotoofficial siteに「プロフィール」、載っていないんですよね(見逃しているだけだったらどうしましょう^^;)。美の分野で一つの世界を築いた人に経歴を尋ねるなんて、無粋なんだと思います。

このような素敵な本をそっと開いて、その世界をちょっと垣間見るのが丁度いいんです。

聞き手:宮智泉さん

「あとがき」の率直かつシンプルな語りに感動しました。

読売新聞の編集委員の方です。本書の第一章「後ろ姿」は、読売新聞朝刊の連載「時代の証言者」が元になっているんです。

20年近く家庭欄を担当。生活やファッション、女性などのテーマで記事を執筆してきたベテランです。

日本のファッション業界華やかなりし頃も見てきたけれど、バブルの崩壊を機にこの業界が活気を欠いてゆくと、「海外コレクションの取材に行かせてほしい」と上司に願い出、1996年のパリコレを取材。願い出の背景には、「パリコレを見に行くといい。日本とは全く違って、ファッションが文化として認められている。」という三宅一生さんや森英恵さんの助言があったそうです。実際、会場の真ん中には欧米陣、日本人は端に追いやられて席ももらえず…という状況だったとか。また、当時欧米の一流紙にあって日本の新聞になかったのがファション欄で、これがコレクション取材を願い出る大きな理由だったとのこと。

そして、「世界の中で日本はどうあるのがよいか」をファッションを通して考えるようになったそうです。また、品質はいいのに世界で勝負できない日本の物作りを応援したいと思ったそうです。カリフォルニア大学バークレー校ジャーナリズム大学院講師だったこともあります。

↓こちら、1996年の「Yohji Yamamoto POUR HOMME」コレクションにインスパイアされて作られたYohji Yamamotoの作品です(2020年の記事)。宮智泉さんの1996年パリコレ取材時のランウェイは、このようなデザインだったのでしょうか。

jp.fashionnetwork.com

↓宮智泉さんの母校での講演記事
ichoukai.sakura.ne.jp

装丁&本文レイアウト:細野綾子さん

『服を作る』にて、即席の本とは一線を画することを、私に証明してくれた表紙の作り手です。

公式ページには

1983年アメリカに移住。ニューヨークのスクール・オブ・ビジュアル・アーツ卒業後、活版印刷を学び、活字や装丁に興味を持つ。2001年帰国。

とあります。

muonfminor.tumblr.com
文学、音楽、歴史、小説…。『服を作る』に通ずるテイストの表紙もちらほら。

2011年以降の作品(の一部?)はInstagramに、とあります。投稿は2020年のようです。

和紙仕様のカバー、かかりますよね?…費用…。私の『服を作る』は購入してもう何年も経ちますが、カバーがだんだんとこなれてきて、これまた良い感じなっています。装丁の制作秘話が聞けたらいいな、と思います(*^^*)

表紙写真:Thierry Bouët(ティエリー・ブエット)さん

フランス人のフォログラファー。法律を学んだ後、陸軍の軍属写真家としてキャリアをスタート。パリの有名老舗写真館スタジオ・アルクール(一般人も来るけれどセレブ御用達でもある)のディレクターなどを経て1983年に独立。「Vogue」や「 Marie-Claire」などの雑誌で活躍。(メイン?)分野はポートレートルポルタージュ。人も取り続けてきた写真家さんなのですね。
www.thierrybouet.com

『服を作る』の表紙写真(和紙仕様のカバーを外すと表れます。カバーから透けて見えます。)は、何か、えも言われぬ迫力に満ちていて、服づくりの場面にちょっと居合わせたような気持ちにさせてくれます。本文での山本耀司さんの語りとこの写真のリンク具合、すごいなと思います。ブラック=モード。Yohji Yamamotoの本だから「黒」が映える写真を選んだのでしょうか。…もっと違う意味合いがあるのかもしれませんが。ちなみに山本耀司さん、本書内「100の質問」で「黒は何色ありますか。」という質問に答えています。

増補新版

増補新版が発行されていたのですね。装丁は基本同じようですが、増補新版は著者名の位置を変えて「服を作る - モードを超えて 山本耀司」とタイトルにサインを添えるような感じになっています。目次も変わり20ページちょっと増えていますから、加筆したのだと思います。

*2013年発行版目次
1 後ろ姿
2 一〇〇の質問
3 服の作り方

*増補新版目次
1 後ろ姿
2 一〇〇の質問
3 手から出ていく魂
付録 服の作り方

「手から出ていく魂」…気になる…。

書籍情報

題名:『服を作る - モードを超えて』
著者:山本耀司
聞き手:宮智泉
版元: 中央公論新社
発行日:2013年5月25日
サイズ:四六判変型
頁:185頁
定価:1,500円+税
※2019年増補新版発行

逃避より、リアル。『日本演劇現在形』

芸術関連の本屋さんで、“今を生きるためにお利口でいる私”の枠を取り払って、“何かもっと根源的なものと向き合いたい”個人的需要と合致。表紙の醸し出すエネルギーもなかなかのものがありました。8人の演劇作家との対話集です。

「現在形」ー演劇を介して、演者と観客の間で取り交わされる「前言語的認識の刹那」、普段は潜在意識として潜む何かをすくいとる「今」があってこその演劇。その意味での「現在形」。


編著:岩城京子さん

演劇研究者、演劇パフォーマンス学研究者。もともとは、演劇に特化したジャーナリストとして活動していたのを、ロンドン大学ゴールドスミスで博士号を取得して研究者に転向したそうです。留学情報サイトなどによると、ロンドン大学ゴールドスミスは芸術系の学部が充実しており、「学生が選ぶイギリスで最も創造的な大学」に選ばれたこともあるそう。人類学分野はヨーロッパトップと言われることもあるそうです。

アントワープ大学文学部映画演劇学科専任講師。アントウェルペン王立芸術学院、ヤギェウォ大学、ニューヨーク大学アブダビ校、ゲッティンゲン大学ルーヴェンカトリック大学etc…他大学からも講義のオファーがあるなどご活躍です。ベルギー、ポーランドアメリカ、ドイツ…多忙ですね!

著書に『東京演劇現在形』(Hublet Publishing、2011年 )。『〈現代演劇〉のレッスン』『アピチャッポン・ウィーラセタクン ──光と記憶のアーティスト』(いずれもフィルムアート社、2016年)に執筆。

演劇作家との対話ー社会的な時間芸術の生成を求めて

本書はちょっとした専門書のような文字量で読み応えがあります。「楽しく気軽に読みましょう」というより、「ちゃんと一緒に考えましょう」というオーラに満ち満ちています。あとがきには

本書を契機に、様々な思考・批評の場が生まれるためには、あえて誤解を恐れず、言葉をうやむやにせず、クリアな文章を提示する必要があると思いました。

とあります。また、それ故に断定的な文体を選んだそうです。

本書は『東京演劇現在形 — 八人の新進作家たちとの対話 Tokyo Theatre Today — Conversations with Eight Emerging Theatre Artist』(Hublet Publishing 、2011年)というインタビュー集(こちらは日本語と英語の両言語で収録)の続編といえるものだそうです。続編と「位置付けることができる」という意味なので『日本演劇現在形』から読み始めても大丈夫だと思いますが、『東京演劇現在形 』は日本演劇に馴染みの薄い人々を対象とした(それ故に英語でも収録)ジャーナリスト時代のものであるのに対して、『日本演劇現在形』は日本の演劇やカルチャーへの知識をある程度持つ人たちへ向けて研究者の視点から書いている、という点でその違いが如実に表れたとのこと。私は『東京演劇現在形 』は未読ですが、比較しながら読むのも面白いかもしれません。

両書とも、それぞれ8人の演劇作家たちへのインタビュー集です。

*『日本演劇現在形』に登場する演劇作家(目次順)
神里雄大(岡崎藝術座)
村川拓也(演出家・映像作家)
木ノ下裕一(木ノ下歌舞伎)
藤田貴大(マームとジプシー)
西尾佳織 (鳥公園)
三浦直之(ロロ)
山本卓卓(範宙遊泳)
市原佐都子(Q)
※8人とも80年代生まれ

登場する8人は、「かなり自覚的に、『いま』という時代感覚に敏感なセンサーを持つ才能たち」として岩城京子さんが選んだ演劇人たち。この選定は「演劇とは、『平均的な日常が、正常ではない』ことを鋭く射抜くメディア」である(べき)にも関わらず、いつの間にか「(例外的な才能が手掛けるものは除き、)社会意識の可視化装置として機能しなくなってしまった。逆に、この国の演劇は、少なからず、演劇界に棲む隠遁者たちが悦にいる、自己充足的メディアとして弛緩してしまった。」という岩城京子さんの問題意識を反映しています。

8人8様、その人から引き出したいと著者が思う3つのキーワードを元に、焦点を絞った対話をしています。目次を見ると分かりますが、私は社会論集的にも読めるという点もいいなと思いました。

*『東京演劇現在形 』に登場する演劇作家さん
高山明 (Port B)
松井周(サンプル)
岡田利規 (チェルフィッチュ)
岩井秀人 (ハイバイ)
前川知大 (イキウメ)
三浦大輔 (ポツドール) タニノクロウ (庭劇団ペニノ)
前田司郎 (五反田団)

ちなみに、岩城京子さんは『東京演劇現在形 』執筆時点で13カ国の取材をしています。

ブックデザイン:長田年伸さん

2021年から多摩美術大学芸術学科非常勤講師。

表紙をパッと見た感じではタイトルがいまいち目立たないのですが、それも織込み済みなのでしょうか、デザインだけで書籍の持つ方向性と熱量が伝わり思わず手に取りました。

↓こちら長田年伸さんのワーク一覧。書籍の傾向から、関心のあり処が分かるような気がします。私は気になる本をちらほら見つけてしまいました(o^^o)
nagatatoshinobu.tumblr.com

書籍データ

題名:『日本演劇現在形 時代を映す作家が語る、演劇的想像力のいま』
編著: 岩城京子
版元: フィルムアート社
発行日:2018年2月1日
サイズ:四六判
頁:304頁
定価:2200円+税(単行本)

なんて独特なんだ…でもこの世界、きっとある。山尾悠子さん『歪み真珠』

芸術系の本や雑貨が並ぶ本屋さんで、表紙の雰囲気と帯に惹かれて手にした短編集です。並み居る美しい装丁を前に、只事ではない光を放っていたんです。

文も文で、独特の世界観とその語りに、惹かれるような、ちょっと距離を置きたいような…。少しずつ読み進めて数年経ち、ようやく著者さんについて調べるに至りました。知る人ぞ知る、現代における幻想文学の旗手でした。


作者:山尾悠子さん

筑摩書房の公式ページには

1955年、岡山県生まれ。75年に「仮面舞踏会」(『SFマガジン早川書房)でデビュー。2018年『飛ぶ孔雀』で泉鏡花賞受賞・芸術選奨文部科学大臣日本SF大賞を受賞。

とあります。SF雑誌でデビューして2018年には日本SF大賞を受賞しているわけですが、「SF作家」ではなく「幻想文学作家」と言われます。科学や技術の趣向を凝らした「sience fiction」ではなく、ある意味科学と対立するような世界を、さも「あります」というように流暢に表現してみせるのです。…現状の私の捉え方によると、ですが。

もっとも、SF文学は幻想文学に含まれるのだそうですが(hontoの解説による)。

嘉作であるうえに、1985年からしばらくの間は作品を発表していなかったことから、「幻の」作家と呼びならわされ、「伝説の」とも言われます。「幻の幻想作家」「伝説の幻想作家」…あらゆるものが露わになる現代において、貴重な在り方です。

高校生の時には文芸部に所属。SF小説好きの先輩が貸してくれたSF小説や、ミステリー、時代小説など何でも読んだそうです。好きだった小説家は倉橋由美子さん。この頃は「詩のようなもの」を書いていたそうで、小説を書き始めるのは大学生になってから。久々に手に取った「SFマガジン」に、数年に一度しかないコンテストの募集記事があり、「ああ、これは私が応募してもいいんじゃないかな」と思ったそうです。それで生まれて初めて書いた小説が『仮面舞踏会』。この、生まれて初めて書いた小説が最終選考まで残り、雑誌掲載されます(1975年「SFマガジン早川書房)。すごいですね!

ちなみに、高校生の時に夢日記を書き始め、綴った内容をその後書き始めた小説に落とし込んだりしたそうです。

book.asahi.com

2018年には『飛ぶ孔雀』(文藝春秋)で第69回芸術選奨文部科学大臣賞、第39回日本SF大賞、が第46回泉鏡花文学賞の3賞を受賞。この作品は「2018年上期の文芸界の『事件』とも言われた」そうです。

装画:山下陽子さん

この美しい表紙があったからこそ、本書を手にしたんです…。

山下陽子さんのオフィシャルサイトには

兵庫県生まれ。山本六三氏に師事し、銅版画を学ぶ。近年は自身のコラージュ作品を写真製版した版画(コラージュ・フォトプレート・グラヴュール)の制作に取り組み、版画・コラージュ・オブジェの混合作品等、手法の境界を超えた独自の創作を展開する。

とあります。『歪み真珠』の表紙も銅版画でしょうか。文庫版の袖の部分に”collage「無辺の天井」”とあることから「コラージュ・フォトプレート・グラヴュール」という版画なのかとも思います。「コラージュ・フォトプレート・グラヴュール」。はて…?

「本とアートを楽しむ場所を作って」いるというBooks and Modernさんのホームページには

(*)コラージュ・フォトプレート・グラヴュール
銅板の上に感光材を載せ、コラージュ作品の写真を露光して孔版を作る。精密な技術と感覚が求められ、イメージ通りの仕上がりまで版を何度も版を作り直す。

との説明がありました。基本的な銅版画を小学校で辛うじて習ったことがあるというだけの身には、なかなかイメージするのが難しいですが^^;

www.yoko-y.com

語源としてー「歪み真珠」

バロック」の語源でした…(ポルトガル語「バローコ」barrocoに由来)。『ポケット音楽辞典』(音楽之友社)によると

バロックとは元来〈いびつな真珠〉の意で、ルネサンス音楽の均整に対する破格を意味した。

本書と「バロック」については、文庫版解説の諏訪哲史さんの考察を読んでいただくのがよろしいかと思います。

文庫版解説:芥川賞作家・諏訪哲史さん

「ちくまweb」にて読むことができます。『歪み真珠』の趣を損なわない、なんとも素晴らしき文章です。

www.webchikuma.jp

書籍情報(文庫版)

題名:『歪み真珠』
作者:山尾悠子
版元: 筑摩書房
発行日:2019年3月7日
頁:224頁
定価:760円+税
※単行本は2010年2月、国書刊行会より刊行

その筆致…すごし✴︎宇佐見りんさん『推し、燃ゆ』

綿矢りささん、金原ひとみさんに続く史上3番目の若さで芥川賞を受賞した、宇佐見りんさんの『推し、燃ゆ』。発行から5ヶ月で17刷、今では52万部を突破。海外出版も次々と決まっています。怒涛の言葉というのでしょうか。その勢いに、一度も本を閉じることなく読み終えてしまいました。…恐るべし。


作者:宇佐見りんさん

大学在学中の21歳で第164回芥川賞を受賞(2020年下半期・発表2021年)。1999年のお生まれです。1999年…、同じく大学在学中に芥川賞を受賞した平野啓一郎さんが同賞を受賞した年ですね。

2019年『かか』で第56回文藝賞を受賞してデビュー。翌2020年に同じく『かか』で第33回三島由紀夫賞を史上最年少受賞。その年の下半期に『推し、燃ゆ』で芥川賞。順調ですね…!

芥川賞受賞後の第一弾として少女と家族の物語を描いた『くるまの娘』(河出書房新社)が出版されています。

小学校3年生の時、物語を書く授業がきっかけでその面白さを知り、高校生の時には「これしかない」と作家になる覚悟を決めたそうです。「いわゆる純文学といわれる作品に書かれていることが、それまでは難しかったり、遠いものというふうに思っていたのに」なんとなくわかるようになったことも一因だったそうです。

最初は形にならなかったものの、試行錯誤をしているうちに「気づいたらここにいた」とも。1作目の『かか』、2作目の『推し、燃ゆ』は物語の紡ぎ方が違うそうです。大事にしているのは「自分から出てくる言葉」。それ故に、できるだけ外の世界に出るようにしているとか。頭で考えるのではなく、実感を大事にしたいということですね。そうして出てきた描写のひとつに、『推し、燃ゆ』の冒頭の方の、とある文章を上げています。私も印象に残った表現のひとつです。

↓小説への向き合い方など興味深いインタビューです。
www.mensnonno.jp

装画:ダイスケリチャードさん

1994年滋賀県生まれ。デザイナー、イラストレーター。小・中学生の時にイラストレーターに憧れるも、生計を立てるのは難しそうだとの考えからデザインの専門学校に学び、デザイナーとして就職。土日はイラストレーターとして活動し、ここでの収入が本業を上回ったため独立。アーティストのMVイラストを手掛けたり、『推し、燃ゆ』をはじめとする小説の表紙を描くなど方々で活躍しています。

女の子のイラストが多く、いずれも一目で「ダイスケリチャードさんの作品だ!」と分かるのですが、『推し、燃ゆ』の表紙画然り、表情が伺えない角度のイラストであることが多いです。これは「面倒くさがり」な性格であることに起因するらしく、「顔を描くのが面倒くさいというか苦手」と思った結果、このスタイルのイラストが生まれたそう。髪を描くのは好きなのだそうです。

↓『推し、燃ゆ』の紹介動画。書籍の表紙とは別のイラストを見ることができます。

最近では、ダ・ヴィンチの「MUSIC&NOVEL PROJECT」プロジェクトに参加しています。

世界15ヶ国語に翻訳

河出書房新社によると、『推し、燃ゆ』は芥川賞受賞前より海外出版社からの注目を集めていたそうですが、今や15ヶ国語に翻訳されることが決まっているそうです。

↓既に出版されている国も。

✴︎イギリス
canongate.co.uk

✴︎デンマーク
korridor.bigcartel.com

海外出版リスト
(引用元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000451.000012754.html


『推し、燃ゆ』各国語版刊行状況、タイトルなど(刊行順)
・中国語簡体字/中国(上海浦睿文化传播有限公司)2021年7月1日刊行、タイトル『偶像失格』
・韓国語(Media Changbi, Inc.)2021年8月5日刊行、タイトル『최애, 타오르다』
・中国語繁体字/台湾(精誠資訊)2022年2月24日刊行、タイトル『本命,燃燒』
デンマーク(Forlaget Korridor)2022年9月9日刊行、タイトル『Idol, brænder』
・英語/UKほか北米圏以外(Canongate)2022年11月3日刊行、タイトル『Idol, Burning』
・英語/北米圏(HarperVia)2022年11月15日刊行、タイトル『Idol, Burning』


以下は刊行準備中です(契約順)。
・イタリア語(Edizioni E/O)
・ロシア語(AST Publishers)
インドネシア語(Gramedia)
スペイン語(Editorial Oceano de Mexico, S.A. de C.V.)
・ドイツ語(Verlag Kiepenheuer & Witsch/2023年6月刊行予定)
タイ語(Mind and Thought/2023年1月刊行予定)
・フランス語(PICQUIER)
ベトナム語(Nha Nam Publishing and Communications JSC)
ポーランド語(Grupa Wydawnicza Relacja sp. z o.o.)

ちなみに、今村夏子さんの芥川賞受賞作『むらさきのスカートの女』(2019年上半期)は、17ヶ国語、23か国・地域で翻訳されています。

「推し」ー言葉として

「人に薦めたいほどの思い入れがある」という点に、「好き」や「ファン」との違いを認める記述が多く見られます。手持ちの広辞苑にはありませんが、いずれ掲載されるようになるのでしょうか。

著者インタビュー動画

河出書房新社によるインタビューです。8年間推している俳優さんがいらっしゃることから「身近で、よく書けるのではないかと思った」とのこと。「推しを推すという行為は、色んな人に知れ渡っている反面、まだ軽いものに捉えられがちだなと思うことが多い」とも述べています。


書籍データ

題名:『推し、燃ゆ』
著者:宇佐見りん
版元: 河出書房新社
発行日:2020年9月30日(単行本)
サイズ:四六判
頁:128頁
定価:1400円+税(単行本)

ワンガリ・マータイさんを描いた伝記絵本『ワンガリの平和の木』

ワンガリ・マータイさん。環境分野で初の、またアフリカ人女性として初の「ノーベル平和賞受賞」、「生物学博士」、「ナイロビ大学教授」、「ケニア共和国の環境・天然資源・野生動物省副大臣」、「ケニア女性国民会議議長」、「アフリカ連合経済社会文化会議の初代議長」、「ケニア・マジンジラ緑の党代表」「国連平和大使」…そして「グリーンベルト運動創設者」。

数々の肩書きが示すように、祖国・ケニアを引っ張り世界にもその影響力を認められた一人の女性の活動が、たった数本の苗木を植えることから始まったのだ…。と感慨深い思いにとらわれる絵本です。私は作者を同じくする『バスラの図書館員』がきっかけで本書を手にしました。

ケニアの大地…!

作者(作・絵):ジャネット ウィンターさん

NY在住の絵本作家。シカゴ生まれでご両親はスウェーデン人。シカゴの美術学校やアイオワ大学で学んでいます。実話を元にした伝記絵本の執筆が多く、イラク戦争下で図書館の本3万冊を守った図書館員を描いた『バスラの図書館員』(晶文社)や、2014年ノーベル平和賞を受賞したマララさんを描いた『マララとイクバル パキスタンのゆうかんな子どもたち』(岩崎書店)などがあります。

csun.hatenablog.jp

訳:福本友美子さん

慶應義塾大学文学部図書館・情報学科を卒業後、公立図書館で司書として勤務。児童書の研究や評論、翻訳を手掛けています。訳書に『としょかんライオン』(岩崎書店)、『戦争をくぐりぬけたおさるのジョージ』(岩波書店)など多数。また、ジャネット・ウインターさんの作品の訳に、ニューヨーク同時多発テロ事件が舞台の『9月のバラ』(日本図書センター )、実話に基づきマンハッタンの高級アパートに棲みついたタカを描いた『ニューヨークのタカペールメール』(小学館)などがあります。

主人公:ワンガリ・マータイさん

2004年にノーベル平和賞受賞。活動上の肩書きは先に述べた通り多くありますが、一言で表すならば「女性環境保護活動家」となるのでしょうか。「女性」であることも、重要なんです。マータイさんの活動は、ケニアの農村の女性たちの自立と生活環境の向上に資するところ多大だったからです。

マータイさんは、1940年にケニアの中部、ケニア山の南に位置する二エリ地区の農家に生まれました。「みどりのかさのように」木の葉が生い茂る土地で、サツマイモやサトウキビの収穫、薪拾いを手伝う少女時代を過ごしています。

そんなマータイさん、学業優秀のためカトリック修道会の主宰する学校に通うことになり、20歳で国費留学の機会を得てアメリカで修士号を取得。帰国してナイロビ大学で博士(生物分析学)となり、助手を経て同大学初の女性教授となります…優秀ですね…!ただここで初めて、男性ばかりが優遇されるという「女性であるがゆえの問題」を経験。女性問題への関心を深めていきます。

さて、マータイさんが育つ過程でのケニアは、イギリス領として第二次世界大戦を経験し(マータイさんが生まれる前年に第二次世界対戦が勃発)、1960年(マータイさんアメリカに渡った年)に始まるアフリカ諸国の独立の機運の中で1963年に独立、翌年には共和制に移行するという大きな流れの中にありました。

学業を修めて帰国したマータイさん、故郷を見て愕然とします。樹々は切り倒されて畑に作物もなく、緑豊かだった大地が様変わりしていたから…。

絵本には、

「わたしの家のうらにあった木を

とりもどすことから はじめようーいちどにすこしずつ」

ワンガリは、まず9本の苗木をうえました。

とあります。グリーンベルト運動の始まりです。(「7本」となっている記事も多くありますが、絵本では「9本」。いずれにしても10本に満たない苗木を植えることから始まったのですね。)

グリーンベルト運動

プロジェクトとしての「グリーンベルト運動」は、「ケニア国民ひとり1本の木を植える」を目標に1977年に始まりました。貧困に立ち向かう術として女性の参加を促し、教育の機会と報酬を与えました。

この報酬は、外来種ではなく在来種が根付いた場合に、その本数に応じて賃金を支払うというものでした。そこには、従来の農業に立ち戻るべきであるという考えがありました。トウモロコシなど元々アフリカになかった外来種を栽培しようとするがために、アフリカの気候に合わない土地の活用をすることとなり、その結果土壌の侵食や穀物の不作が起こっていると考えたのです。この植林によって初めて賃金を手にする女性も多くいました。

女性の地位の向上や民主化にも繋がるこの運動は、その頃の独裁政権下にあって危険視されます。マータイさんは幾度も投獄を経験しますが、それでもめげずに信念を貫き、この運動はやがてアフリカ全土に広がり、これまでに少なくとも5,100万本の木が植えられました。

また、グリーンベルト運動は、「限りある資源が紛争や戦争を引き起こす」として「平和」を希求するための運動でもありました。

マータイさんと日本

2005年2月、マータイさんは、京都議定書発効記念行事に出席するために初来日します。そして、そのまさに到着の日に「もったいない」という言葉を知り感銘を受けます。翌3月には早速、国連女性地位委員会にて「MOTTAINAI」を出席者と唱和し、この言葉を世界に広めるきっかけを作りました。

ところでマータイさん早稲田大学青山学院大学をはじめ、いくつかの日本の大学から名誉博士号を贈られているのですが、早稲田大学での名誉博士号授与式では「自然主義者として、生物学者として、人間として」と題した興味深い講演を行っています(2006年)。

www.waseda.jp

ここでマータイさんは、日本を「技術を最高水準にまで高めながらも過去の英知を失わない、その資質が高く評価されている」としています。マータイさんは「過去の英知」を大切にします。ケニア外来種を育てるようになった過程で、従来の農業体系を「原始的で非生産的なシステム」として排除したものの、結局「今になって科学者がこの方法に立ち返って研究してみたところ、昔の人の土地活用法には英知がたくさん詰め込まれていたことが再発見されている」ことに言及。「MOTTAINAI」も「過去の英知のひとつ」に位置付けています。

そして、日本人は森林の豊かな国で暮らして環境保護を上手にしているとし、「皆様はこのメッセージを世界に広げるための手助けをし、人々(特に発展途上国や弱小国の人々)に現実に目覚めなさいと励ますことができる立場にいらっしゃる」と、環境保全を先導する側にあると期待を寄せています。

マータイさん縁のドングリ宇宙へ

「今、私が目標とし、希望しているのは、いつの日か、彼ら宇宙飛行士が宇宙へ行って地球を観察したときに、一面が塵に覆われていないアフリカの大地を目にしてもらいたいということ、私たちが地球を植物で埋め尽くして塵の層を消滅させることです。」

先と同じ早稲田大学名誉博士号の授与式にて、マータイさんはこのようにも語っているのですが、マータイさんゆかりのドングリが宇宙を旅したことがありました。2021年のことです。福島県立飯坂小学校のHPにその記事がありました。

fukushima.fcs.ed.jp

2006年に福島県を訪れた際、マータイさんは同校に立ち寄って児童とともにドングリを植えたそうです。そして15年を経て立派に育ったコナラから拾い集めたドングリが、宇宙飛行士・野口聡一さんとともに宇宙ステーションに滞在したのです。素敵なお話ですね!

また、この飯坂小ともう一校、月輪小学校は、マータイさん福島県を訪問した2月14日を「もったいないの日」と定めて、環境保全活動をしているそうです。

mainichi.jp

ドングリが宇宙を旅したのはマータイさんご逝去の後でしたが、マータイさんが託した願いは、このような形としても叶っているのですね。

書籍データ

題名:『ワンガリの平和の木』
作者:ジャネット ウィンター
訳者:福本友美子
版元:BL出版
発行日:2010年2月1日
サイズ:28×21cm 
頁:32頁
定価:1400円+税

『マチネの終わりに』平野啓一郎さん…これはすごい恋愛小説だ…

いわゆる恋愛物は、ほぼほぼ読んだことがなかったんです。そんな私が2度読み返しました…

手持ちの文庫の帯裏のキャッチコピーは

「たった三度会った人が、誰よりも深く愛した人だった-」

舞台のひとつ セントラルパーク

作者:平野啓一郎さん

21世紀になる2年前(懐かしい…)、1999年、京都大学法学部在学中に『日蝕』で芥川賞を受賞。

三島由紀夫の再来と言われ、当時の最年少受賞ということでも話題になりました。(その後、綿矢りささん19歳、金原ひとみさん20歳の受賞がありました。『推し、燃ゆ』の宇佐見りんさんは21 歳での受賞)。

日蝕』は、漢文調の独特の語りの重みに引き込まれるように読みましたが、最終的に私は「最後の方が間延びしていない?書き疲れ?」などと生意気な感想を言ったりしていました^^;(今に読み返したらどのような感想が湧くのか楽しみですが)。

賞への応募ではなく「新潮」編集部への持ち込みによって同雑誌への掲載に至ったのでしたよね。

平野啓一郎さんによると、雑誌「三田文学」の特集「いま、我われはこのような新人を待つ」(1997年夏季号・No.50)を読んで、「新潮」の当時の編集長・前田速夫さんに『日蝕』を読んでもらおうと思ったのだそうです。そして突然小説を送っても取り合ってもらえないだろうと思い、事前に手紙を送ったとか。

前田速夫さんは武者小路実篤を担当したこともある編集者です。歴史を感じます…。

また平野啓一郎さんは元々は、小説家というものは世間に顔を出すものではないというお考えだったそうですが、今はお姿もなんともよく知られた作家さんになっていらしゃいます。

学生の時に軽音楽部に所属したり、『葬送』にてショパンを描いたりと音楽に縁のある作家さんですが、「小説全体は時間芸術なので音楽的に考える」のだそうです。「大きな波のように考える」とも。

↓こちらでそう語っていました。メディアプラットフォーム「note」の企画で平野啓一郎さんがゲストだった時のものです。面白いですよ。


ちなみに、『マチネの終わりに』の制作秘話に繋がるお話もされているのですが、

「その小説が何を書こうとしているのかということを、くどくどしい説明抜きに象徴的に示しているようなクライマックスの場面が描けたら、あ、この小説は書けるな、と思う」そうです。


『マチネの終わりに』では、なるほど、あの場面か、この場面か…私は答えを知っていますが(o^^o)

装画:石井正信さん

『マチネの終わりに』は、毎日新聞朝刊、次いでnoteで連載されました。その連載の挿絵を描いたのが石井正信さんというデザイナーさんで、単行本・文庫本の表紙画を描いたのもこの方です。日本大学芸術学部デザイン学科コミュニケーションデザインコース(当時)ご卒業。

本から入った人では分からないのですが、連載時には石井正信さんによる緻密な挿絵が掲載されていました。もともとは、イラストに限らず写真など他の表現形態でもOKというオファーだったそうですが、石井正信さんは結果イラストを採用。全307回分の挿絵は全て螺旋状に繋がるように構想したそうです。

どんな挿絵を描くのか?抽象と具体のどちらを取るのか?具象的に描くと読者のイメージを損ねるのではないか?と揺れたそうですが、インターネットのコメントや新聞への投書から伺い知れる読者の反応から、後半はそうした配慮をやめたそうです。それは「途中から皆さんのなかに確固たる登場人物が存在しはじめていた」から。例え具体的なビジュアルを描いても読者のイメージが損なわれることはないだろう、と判断したそうです。

石井正信さんのインタビューが「WIRED」に掲載されています(オフィスに貼れられた螺旋状のイラストも見ることができます…!)

wired.jp

書籍の出版に合わせて作品展が開催されていたのですね。圧巻だったのではないでしょうか。見たかったです。

またこちらのインタビューでは、デザイナーになった経緯など石井正信さんの人となりを垣間見ることができます。

www.cinra.net

毎日新聞・noteへの連載

毎日新聞朝刊、次いでnoteにて連載されました。新聞の連載は2015年3月1日から2016年1月10日の間。元々200回の連載予定が307回に増えたそうです。平野啓一郎さんのご経験上2度目の新聞連載だったそうですが、最初の連載(『かたちだけの愛』)は夕刊だったのに対して今回は朝刊だったことにより、「日曜日の休刊」がなく、それが「大違い」だったそうです。

平野啓一郎さんのnoteに、連載終了時の感想が掲載されています。

note.com

西谷弘監督による映画化

2019年9月公開。福山雅治さん、石田ゆりこさん主演。監督は福山雅治さんと度々タッグを組んでいる西谷弘さん。脚本は、テレビドラマをはじめ数々のシナリオを書いてきた井上由美子さん。日本、ニューヨーク、フランスでロケをしています。

こちら原作者と映画主演のおふたりの対談です。平野啓一郎さんも福山雅治さんも九州ご出身なのですね。

bungeishunju.com

ちなみに、劇中にはフランスの新進気鋭のギタリスト、ティボー・ガルシアさんが特別出演しています。7歳でギターを始め、パリ国立高等音楽院を経て数々の国際的な賞を受賞してきた才能の持ち主です。

『マチネの終わりに』特設サイト

平野啓一郎さんからのメッセージや、読者や書店員さんの声が掲載されています。

k-hirano.com

書籍情報

題名:『マチネの終わりに』
著者:平野啓一郎
版元:毎日新聞出版(単行本)/文藝春秋(文庫本)
発行日:2016年4月(単行本)/2019年6月(文庫本)